中古ヨットやモータークルーザーを購入する際に気にしておきたい大きな問題としていくつかの注意点があります。
その中でも厄介なものに、船体に発生するオズモシスというものがあります。
このオズモシスが船底部に発生したまま、中古ヨットが売られる事も多いので知識として知っておきましょう。
私はこんなことも知らずに一艇目の購入をしています、幸い問題なく過ごしましたが、二梃目で大きな修理を経験してしまいました。
FRPの船体にしか発生しないオズモシスですが、FRPがゆえに修理は可能です。
問題はプロに頼めば大きな費用が発生する 船体の大きさによっては100万円は覚悟しないとならないとか・・・・
しかし、修理自体は自分でも出来きるもので国外では盛んにDIYしていますし、私もやっちゃいます! 遊びと経験です。
そこで、船齢の古い中古ヨットに限らず、新艇から2年程の船底にも発生しているozumosisuってなんだろう?こんな視点から考えてみましょう。
オズモシスのメカニズムって?
オズモシスとは、FRP(グラスファイバーと樹脂)とゲルコートで製造された物に発生する現象で、現在に至っても原因は解らないままであると言え、ヨット等 船に限定されるものではないようです。
◎ オズモシスの解説(米国ではブリスターと呼ぶことが多い)オズモシスとは船齢が古くなった、FRP製の船体を持つ、ヨットボートに、時折見受けられる症状です。
水面下の船底部に、船体を構成するFRP層の上、ゲルコート層の部分に水泡状のふくらみが出てきます。
最初は直径数ミリの小さい状態ですが、時間が経つに従って大きくなります。
オズモシスかどうか見分けるポイントは、その水疱をつぶしてみること。
ゲルコートの水疱をつぶすと、酢のようなすっぱい臭いがし、その下のFRP層が凹んだように侵食されているので、すぐに見分けることができます。
多くの見解がある中で、主要な見解を知っておくことは中古ヨットを買う上で安心のもとになると思いますので、まとめておきます。
下の説明は一番理解しやすいものだと思いますが、日本においては一般的ではないものです。
オズモシスは適切な名前ではない
60年代には有力なヨット誌がFRPボートに当たっている不思議な「病気」に関する記事を書いた。要するに、「浸透圧によってゲルコートに侵入している水がを引き起こした」と言われています。この理論は他の多くの雑誌でも繰り返され、今や普遍的に受け入れられている「オズモシス」という名前が作られました。これらの記事の基礎は、その時点で提供されたコアサンプルテストの結果にもとずいていた。ブリスター付き船体からのすべてのサンプルにおいて、試験は、健全なラミネートについて、WSM:s(水溶性材料)、グリコールおよび遊離スチレンの含量が通常よりもはるかに高いことを明らかにした。ラボ中のWSM:sとグリコールの濃縮溶液がゲルコートを通って水を吸収するときにゲルコートのブリスターが形成されるという、非常に長生きだが誤った理論が流布されている。
未硬化樹脂の加水分解
出典リンク:osmosisinfo.com 英文
いかがでしょうか一度原文に目を通してみてください。 英原文を正しく読める方なら納得の内容です。(翻訳ソフトで十分理解できますよ)
しかし、実際のところはどうなんでしょう?
ヨットに乗っている人の多くはオズモシスを意識していませんし、知識も多くはありません。 それで問題はないと思います。
症状と判別方法を知っていることが大切でしょう。
オズモシスは学術用語で、半透膜で分けられた濃度の異なる溶液は、必ず薄い液が濃い液の方に流れ込み、混合される現象のことです。船体の建造の場合にメス型で使われるゲルコートはこの半透膜である。
メス型で使われるゲルコートは防水性の材料としては最適のものとはいえないが、現在のメス型によるFRP造船では唯一の材料である。
この半透膜のひとつであるゲルコート内の水分と、繊維であるグラスファイバーや樹脂の内側にある水分は、グラスファイバーのバインダーや触媒など硬化中の樹脂に含まれた様々な水溶性の物質を溶かし、ひとつの溶液を作り、この溶液の濃度は徐々に濃くなり、強酸性の液体となります。
この辺りの認識で問題はありません。
合わせて、知っていると良いブリスターの考え方をリンクしておきます。
FRP積層は微量ですが、水を吸います。ガラス繊維の毛細管現象もあり、重くなります。そして、水(海水)と接している船の場合、オズモシスが発生します。
出典リンク:刷毛塗り マリンペイント職人ブログ
上記のマリンペイント職人さんの記事に、オズモシスとは別にゲルコートブリスターという分類があると書かれています。 この分類は、自分のヨットにブリスターが発生している際に、どの様に修理するべきかのヒントになります。
オズモシスの補修方法
中古のヨットを購入する際、オズモシスがある船も買える勇者になっておくのも一考です。
作業自体は簡単な道具でできますし、オズモシスが発生している事を解った上で交渉したら、かなり安く入手できる機会にもなります。
もちろん、気の遠くなるような作業に取り掛かる訳ですが、流れの大わくを理解しておけば作業として難しいことはありません。
順序としては、こんな感じです
- 症状の現れている箇所をチェック、 船底部全体の塗料を剝がすことから始めます。
- ブリスターとゲルコートの亀裂にマークを付けながらドライバーなどで潰してみる。 この際に酸っぱい匂いがする所はオズモシスです、酸性の液体なので刺激臭がする。★ゲルコートブリスターも酸っぱい匂いはしますが、FRP積層部まで侵食されていませんので見分けることが出来ます。
- チェックしたマーク部分を思い切りよく、充分に削ります。 ディスクサンダーにペーパーディスクを使いブリスターの箇所を潰しながら残さずサンディングする。 この際にドリルドライバーをつかいビットをフォスナービットやステップビット、面取りカッター等にしても使いやすいです。 発生している箇所が多い時には、船底部のゲルコートを全て剝離したい。
- すべてのブリスター、積層軟化部を削り取ったら、真水できれいに洗浄する。 高圧洗浄をつかえると効果的に洗えます。 朝夕の二回、3日は水洗いしていきます。
- 乾燥させる。 業者による修理の場合は1~3ヶ月の乾燥がなされる場合もありますが、素人では場所の確保から考えても無理でしょう。 しかし、可能な限り乾燥に時間をとります。 この乾燥時に酸っぱい液体が出てくるようなら、 再度 洗浄します。
- 満足できるまで乾燥させたら、パテで凹み部を埋め表面を均していく。 この際には純粋なエポキシ樹脂(シンナーなどの溶剤不使用)を使うと身痩せも無く作業的にも効果的で、今後の再発防止につながります。
- 船底部の表面が均一になったら、エポキシシーリング3回塗りで完成。(回数は多い方がより効果的です) 船底部のシーリングにはゲルコートではなく、エポキシ樹脂を使うことが重要になります。 完全に水から遮断することが必要。 最近の外国製ヨットのなかには、エポキシ船底部がオプション設定されていたりします。
マリン用エポキシ樹脂の代表格 インタープロテクト
国産エポキシ樹脂 中国塗料 シージェット013
カヌーショップのオススメエポキシ樹脂 システムスリーエポキシ
予防方法はあるの?
エポキシ樹脂でコーティングする! これに尽きる!
身も蓋もありませんが、現在のところこれを試みるしか方法はないようです。
新しく高価なヨットを購入したなら、船底をリセットする機会にエポキシ樹脂でシーリングしておくと安心でしょう。
クルーザーヨットの癌は不治の病
オズモシスの発生に気を病んでも仕方がないと知る。
本当に運です。 私が見聞きした限りでは、同じ造船所で建造されたヨットでも全てにオズモシスの発生があるわけではないですし、船齢に関係なく発生している症状でもあります。
オズモシスで沈んだ船は無い! こんな話も聞きますよ。
中古ヨットでしょ?
誰の責任にもできそうにない現状ですので、諦める心が必要かと思います。
多少の修理は自分ですることをこのサイトでは推奨しています、楽しみ方の一つと捉えていきましょう。
愛着がわく! そんな機会にしながら楽しんでしまいましょう。