新艇を購入しないでも、中古艇でいいよっと
新品は買った瞬間に価値が下がります。近年、あらゆる物で中古市場が拡大していますね
この現象は日本の消費材が売れなくなり、経済に悪影響をもたらしている!とまで言われています
しかし人生の終盤に、楽しみでヨットを始めてみようと思っている方の多くは、お家かそれ以上の支出など出来ない時代でもあると思います
それならば手頃な価格で購入出来る、中古ヨットを買ったら良いですね
持っているお金のセーブにつながるし、その余剰資金を金融資産への運用に回せば、毎日遊ぶ為のお小遣いと、自由を手に入れる事も可能です
そこで挑戦してみたいのが、個人売買
個人売買って心配じゃないの?
間違いなく心配は伴います。
買うあなたも、売る相手も素人なんですから、相手に悪意が無くともハズレを引く可能性はあります。
お互いに、どこの誰だか解らない人の場合が多いでしょう。
どんな事に注意していけば、満足する中古ヨットに出逢える可能性が高まるのか?
三回の 個人売買経験をもつ 私の考えをシェアしていきましょう
購入に際して 心配なら人に頼ればいいじゃん
私がこれまでに購入したヨットは、いずれも個人売買です。そこでの反省点は、人に頼らずに素人の目で見ただけで買っていること
知らないって怖いですよね、欲しいとなると盲目にもなります
そんなお熱のあなたにオススメな、人に頼る方法は2つ
- プロに評価を依頼
- 現役オーナーに頼る
プロに評価を依頼する
この場合のプロというのは、ヨットの状態や価格の妥当性を評価する、サーベイヤーといわれる業を営む人の事です。 価格を付ける事を指す、査定とは異なる判断で関わってくれます
日本ではこの様な仕事をするプロは少ないのが現状ですが、第三者の目線から依頼者であるあなたの味方になってくれます
業界団体などに属す方よりも、フリーの方を見つける事が出来たなら安心が高まると思います
もちろん有料サービスです。数万円〜、交通費等別途。ここでもその人のリサーチはしっかりとしましょう。業として商っている以上それなりの情報発信をしているはずです
いまこのページを見ているあなたは、検索して見つける事が可能な方です。ご自身で安心な人を探してみてください
現役ヨットオーナーの目利き
素人ではありますが、多くの中古艇を乗り継いできたヨットオーナーの中には、整備を通り越して、エンジンオーバーホールや船体すべに渡るレストアを趣味にしてしまった方も居ます
このような方と知り合えたり、御縁が探れるようであれば最高です。このような趣味をお持ちの方は、情報発信も得意だったりしますので、個人ブログを検索するのが手段になってきます
ここまでいかなくても、数艇の買い替えを経験している現役オーナーに相談する事も考えてみましょう
こんな御縁は、案外身近にあったりするんです
何故ならセーリングヨットを買う為には、係留場所の確保が前提になりますので、そこでの御縁を上手く利用できると、その後のヨットライフも充実させられるとおもいますよ
相手確認の重要性と ヨットオーナー性善説の否定
ヨットに乗っている、所有してるオーナーは良い人だと、思い込みのある方にお会いすることがありますが、そんな訳はありません
高額な品物であるだけに、悪い人でなくても欲をかきます
瑕疵のあるヨットを売り抜けようとしている人も 普通に居ます
そこで重要になる チェックポイントと 本人確認の方法も紹介しておきます
ヨットには船舶検査証書がある
あなたが、人を信用できないのであれば個人売買は避けてもよいと思いますが、もったいないと思います
今後のヨット遊びのご縁にもなるでしょうし、安くヨットを買う可能性も逃してしまいますよね
そこで、本人確認の方法として考えられるのは、ヨットの登録を確認できる船舶検査証書を見せていただくこと。
これには所有者の名前や、船舶番号が 載っています
残念ながら住所の記載は無し
そこでさらに深掘り出来るように、船舶番号(第1234567890号)を確認、控えておきます
その番号をもって、小型船舶検査協(JCI) https://jci.go.jp/procedure/touroku.html から
登録事項証明書 を取得すれば住所まで確認できます
サンプル画像⬇︎
https://jci.go.jp/registration/pdf/sample_ichibujikou.pdf
オーナーであることを確認する為には、その他の身分証明を求める必要があり
相手に失礼にならない程度に、しっかりと確認する必要があるでしょう
個人売買で中古ヨットのチェックポイント
ヨットの場合、自動車とは異なり多少の傷や補修跡は気にしない事をオススメします
素材的にサビることは無いグラスファイバーと樹脂で出来ている船体は、多少のキズからダメージが広がることはありません
それよりも、今後の整備修理や 装備の不足からくるカスタム費用が大きくならないかが重要でしょう
しかし、多少のスリキズは問題ないものの、船体(ハル側)表面ゲルコートに大きなキズ(亀裂)がある場合は用心しましょう。亀裂はグラスファイバーの繊維を断裂させる程の凹むダメージを受けた可能性もあります
長年にわたり放置されたヨットも多い
今も稼働している船ですか? 稼働していなかった船は整備されていないと思います。動かした途端に不具合が露見してきます
エンジンは固着していませんか? エンジンオイルは酸化します。 クランクシャフトを手動で回してみると解りやすと思います
ビルジ(垢水)は溜まっていない?
ヨットには船内船底部に侵入した水を貯める窪みがあります。そこに水が溜まっているようなら、勇気を出して舐めることも必要です。海水なら船底部に浸水要素があるでしょうし、真水なら雨漏りがあると判断出来ます。
水没はサビからくる大きな補修が必要になる。
特に電気系統は致命的。これを判別するのは難しいモノです。電気配線の露出部を見て、全てに渡って緑青が見られるようなら用心ですが、難しいです
座礁跡はありませんか?
座礁の場合は、補修跡を船内側(ビルジ溜まり)で判断します。 バラストキールをひどくぶつけてビルジ溜まり廻りだけが特段に綺麗なら用心します。ここはキール(バラスト)が付いている場所なのでキールが脱落する様な事があれば、命に関わります
座礁は致命的な可能性もある
可能な限り陸上に上架して船底をみる
購入後、直ぐに大きな補修が必要になりませんか? 浮かんでいては見えない水面下にダメージがある事も多いです
グラスファイバーと樹脂で作られたFRPには、FRPの癌と言われるオズモシス が発生する事もあります、船的に不安全と言う事では無いものではありますが、価値としてはかなり評価ダウンです、外国艇に多く見られます
残念ながら、日本国内のヨットメーカーでも オズモシスは発生する
塩水は異金属どうしを腐蝕させる
マストや、スタンディングリギンの電食(腐食)金属イオン化傾向と電食/メッキ.comはありませんか?マストが折れてしまう元になります。ヨット的には主要な部分でもあります
エンジンやプロペラ、プロペラシャフトも電蝕します
船体やエンジン、マストなどに大きな瑕疵があるまま売りに出ている船は、まれに見かけます。最悪、補修に100万円単位のお金がかかる事も有ります
目的を明確にして遊び道具を探そう
あなたの目的に合った船体ですか?
レース艇、クルージング艇、外洋向きな艇、ディセーラーなど艇種の線引きは曖昧なところでもありますが、あなたの楽しみたいスタイルに合った艇を見つけて下さい。
費用対効果も見極めたい
最低限必要な装備はありますか? あなたがカスタムして自分に合った船にして行く事も楽しみの1つです。 しかしあまりにも多くのカスタムが必要な状態である場合は、費用の面でよく考えてから購入したいものです
ヨットでは、部品も工賃もかなり高額になりますので、カスタムが終了しない故に遊びにも出掛けられないなんてオーナー達を見かけます
ヨットの自由度の高さも 制度に制限される
現在の登録航行区域は? あなたが乗る海域に合ったものでない場合は、船検の兼ね合いで装備の追加が必要な事もあります
多くの場合、限定沿海区域を取得しておけばヨット遊びに不自由しないと思いますが、(ヨットの場合 限定沿海では母港を含む平水区域から12海里に制限されます)
将来的に5海里全沿岸又は、12海里以遠 航行区域参考図の外洋を航行したいと考えているのでしたら設計上ハルの強度や、浮力の問題が無い事が重要になります
航行区域を広げて検査取得出来るモノを探しましょう
ここでは中古艇を検討していきますので、過去の登録証書が有れば簡単に登録航行区域を確認できますし、ない場合でも日本小型船舶検査協会に請求すれば履歴が見られます
過去に取得していた航行区域は、検査を受ける事で簡単に取得可能
材質によっては整備に時間をとられる
他に、ハル素材(木、グラスファイバー、合金製)もメンテナンスの面では重要かと考えています
木造艇は美しいですが、乗るよりもメンテナンスに時間を取られる事になってしまうものです
FRP(グラスファイバー)で製造されたモノが大半なので、それ以外を選ばなければ乗ることを楽しむヨットが見つかるでしょう
個人売買は危なくはないよ
慣れないモノの個人売買を、必要以上に怖がることはありません。
- 人に頼った方がいい 素人目にお熱になる前に冷静に判断してもらう
- プロじゃなくても、玄人はいます
- 中古ヨットなんだから細かい傷は気にしない 本質を見よう
- 前もって知識を持ってから、実物を見てね
- 艇種の判断はあなたの遊び方を考えて
- 日本小型船舶検査協会も味方にできます
中古ヨットの購買層市場について、今後さらに縮小することと思います。人口減少と高齢化の中、中古ヨットは余りだしています
セーリングヨット業者が生きていけなくなる現状から想像すると、個人売買の必要性は高まるばかりでしょうし、法的な消費者保護制度の充実も期待できません
ご自身で見極めることができると、遊びのヨットに自由が広がると考えております