2015年 イタリアのナポリ湾で奇跡の救出として話題になった動画があります。
海岸線から、32キロ離れた海上に浮ぶ子犬が、R.Y.C.C.SAVOIA(ロイヤルヨットクラブカノッテイリ.サヴォイア)所属のヨットに救助された。
後に分かったこととして、この子犬はフェリーから転落したものの、フェリーでは人命救助ではないので船を停める対処がなされずに漂流していたと報道されています。 (飼い主は海上保安部に要請して巡視船が救助に向かったとあります)
これを見て、感動を覚えた人たちが多くいた事でしょう。
今回は、この動画からみてとれる シーマンシップの重要性をシェアしていきます。
海に浮ぶ子犬をヨットで奇跡の救出は感動的
これを見て、おおくの人は感動し喜んでいたと思います。
多くの偶然がかさなり この奇跡はうまれている
広い海の上、このヨットに出会えたことは、この子犬にとって奇跡のタイミングだった。
本当に良かった。
私も皆さんと同じように嬉しかったです。
この動画から感動しか読み解かないのはもったいない
あなたが、この場面に遭遇していたらどのように対処しますか。
仮に、この動画の中のヨットに乗るスキッパーだったら、どう行動したでしょう。
結果は、動画内容と同じように 無事に救出できると仮定して考えてみてください。
この問いは、技術としてのシーマンシップを問うものです。
停まれないヨットは未熟なスキッパーを証明している
残念なことに、このヨットは停止できていません。
動画なかで、注目して頂きたいのは海面に見える波紋
弱い風によって、わずかですが風波が見られますね。ヨット前方から風が吹いていると見受けます。 ジブセールとメインセールが揚げられてヨット自体は風を利用してポートタック(左舷から風をうける)で風上方向に前進しているようです。
海に浮ぶ子犬を発見して、救出するための行動に入っているスキッパーとクルーは、ヨットを進ませないようにメインセールのシートを緩めている。 ジブシートについては確認できません。
いずれにしてもヨットが進まないように対処していることは、見て取れます。
しかし、停まっていないのです。 ヨットとすれ違いヨット後方に離れる仔犬が、なかなか近づくことができません。距離が開いていく間はヨットが進んでいたことを示しています。
その後、仔犬が自力でヨットに接近した為、救助が出来た。
あなたなら、ヨットをどのように停めますか
今回の動画の場合、惰性が無くなるまで進路はそのままにしてあり、結果として止まった。
止めてはいないことを、承知しておいて欲しいのです。
風は微風、風速3メートル以下で間違いない。海は穏やかで波もない。
こんな状況だったからこそ、仔犬は溺れずに居たでしょうし、ヨットのクルー達も発見できたと思います。
多くの偶然によって救出された仔犬を、あなたが助けるために出来ることを想像してください。
止まれないヨットで 人が助けられるのか
海に浮ぶ仔犬が、仮に人で。 その人はあなたの乗るヨットから落水した人です。
その場合、もう少し荒れた海の場合が多いでしょう。可能性の話ですよ。
そんな穏やかではない時に、救出する側の止まれないヨットに乗っていては、助けることが出来ないとおもいます。
ここで重要なのは、止めるための技術とそれを瞬間的に判断できる知識です。
知っているだけでは、行動に移せないものですよね。
訓練をつんでおくことで、技術は発揮できます。
さて、先の問いです。
あなたが、この場面に遭遇していたらどのように対処しますか。
答えが出せたら、練習しましょう。
遊びにも、非常事態は伴います。 わたしは特別なことではないと考えますが
あなたはどう感じたでしょうか?